番号11027-07
画題山師(やまし)の笑談(せうだん)
揃い物社会幻燈百撰百笑(ひやくせんひやくせう)
判型大判
絵師小林清親
清親
年号明治29年
板行年月1896年1月23日
板元松本平吉
詞書き山師(やまし)の笑談(せうだん)  骨皮道人
時(とき)に慾張君(よくばりくん)、承(うけたま)はれば君ハ彼(か)の新版図(しんはんと)の台湾(たいわん) / に就(つひ)て、何(なに)か大事業(だいじげふ)の御計画(ごけいくわく)があるさうだが、僕(ぼく) / もまた其考(かんが)へ無(な)きにしも非(あら)ずで、実ハ昨今(さくこん) / 金蔓氏(かねつるし)とも相談(さうだん)中であるが、併(しか)し単独(たんどく)の / 運動よりハ、どうしても協同(きやうどう)の方(はう)が奏効(さうこう)も速(すミや)か / であるから若(も)しお差支(さしつかえ)がなくバ半(はん)口乗(のせ)て貰(もら) / ひ度(たい)ね 慾「君(きみ)にさう星(ほし)を打(うた)れた以上(いじやう)ハ、到底(たうてい)隠(かく)し / ても益(えき)ない事(こと)ぢやからお話し申すが、金儲(かねまふけ)ハ何(なん)ど / も未開(みかい)の地(ち)に限(かぎ)るてかや、今僕(ぼく)に運(うん)が向(むい)て来(き)て / 居(い)るのハ、先づ樟脳(しやうのう)及(およ)び砂糖(さたう)の製造(せいぞう)さ、夫 / から道路(だうろ)の改築(かいちく)鉄道(てつだう)の布設(ふせつ)、其外(そのほか)まだ / 種々(いろいろ)あるけれども取敢(とりあへ)ず此所(ここ)で着手(ちやくしゆ)し / やうと思ふのハ此四大事業(だいじげふ)ぢや、君(きミ)ハ幸(さいわ)ひ金蔓(づる)/氏(し)と御懇意(ごこんい)なら兎(と)に角(かく)此地図(このちづ)を御持参(ごぢさん)で、 / 篤(とく)と御協議(ごきやうぎ)を願(ねが)い度(たい)、勿論(もちろん)御同意(ごどうい)とあれバ、其(その) / 方法(はうはう)や又(また)予算書(よさんしよ)等(とう)も御目に掛けやう。「早速(さつそく)の / 御承引(ごしよういん)で有(あり)がたい、併(しか)し何(なに)をするにも第一(だいいち)先立(さきだつ) ものハ資(し)金だが、其辺(そのへん)の所ハ? 慾「イヤさう / 素人流(しろとりう)に来(こ)られてハ金(かね)ハねへ
描写「台湾諸島図」と書かれた地図を挟んで二人の男が議論をしている傍で、もう二人がそろばんをはじいたりしながら聞いている。
解説この揃い物は、「日本万歳百撰百笑」の続編であり、日清戦争の戦勝気分に湧きかえる当時の日本の世相をテーマにして描かれている。本図は、山師たちが新領地となった台湾での金儲けの相談をしている場面である。山師の欲張氏は、台湾開発プロジェクトの、樟脳と砂糖の製造、道路建設、鉄道敷設等がスムースに運ぶように、大物の金蔓氏にもコネをつけようと、金蔓氏と懇意の他の山師とも手を結ぶ。登場人物は「金」に関係のある名前がつけられ、詞書きの最後では、「先立つものは資金だが」と聞かせ「そんな素人っぽいことをいわれては、金はない(かなわない)」と落している。
所蔵個人
画像提供個人
絵種戯画, 日清戦争絵, 風刺画
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