番号11021-13
画題清代限(しんだいかぎ)り
揃い物日本萬歳百撰百笑(ひやくせんひやくせう)
判型大判
絵師小林清親
落款清親
清親
年号明治27年
板行年月1894年11月
板元松本平吉
詞書き清代限(しんだいかぎ)り  骨皮道人

サア負(まけ)ました負けました、滅茶滅茶(めちやめちや)の大負(おおまけ)に負(まけ)ました、/ 何一つとして満足(まんぞく)な品(しな)も無(な)けれバ十人並揃(にんなみそろ)/ッたものも無(な)いが、どうせもう斯(か)う成(な)りやァ十把(ぱ)/一朱(から)げ二束(そく)三文(もん)の大安売(おおやすうり)。一日(にち)も早(はや)くちやん/ちやんと片附(かたつけ)て元(もと)の唐(から)ッ穴(けつ)になる覚悟(かくご)で/すから皆(みん)なドシドシと見切(みきつ)て仕舞(しまい)ます。尤(もつと)も御覧(ごらん)の通(とふ)り大連椀(たいれんわん)渤海椀(ぼつかいわん)旅順壺・(りよじゆんこ・)を/ 始(はじ)め奉天譜(ほうてんふ)北琴(ぺきん)に至(いた)るまで目星(めぼし)い処(ところ)ハ/ 荒方(あらかた)大和屋(やまとや)さんがお引取(ひきとり)に成(な)りましたが、併(しか)し重代(ぢやうだい)の寶(たから)として居(い)る頑鼓(がんこ)、変靴(へんくつ)、大法/螺(おほほら)、無鉄砲(むてつぱう)、出砲台(ではうだい)、乱棒(らんぼう)、化賃棒(けちんぼう)、半死半鐘(はんしはんしやう)/の類(るい)、まだ中々(なかなか)背負切(しよひき)れないほど沢山(たくさん)残(のこ)つて居(い)ます。サア如何(いかが)です残(のこ)り物(もの)にハ不具(ふぐ)がある 見物人「ざ/まア見たが宣(い)い。金(かね)があるの地面(ぢめん)が広(ひろ)いのと、是(これ)まで/ 餘(あま)り横柄(わうへい)な面(つら)をし過(すぎ)たもんだから、其罰当(そのばちあた)/りてとうとう清代(しんだい)も持切(もちき)れなく成(な)りやァがつた。主人(しゆじん)ハ猶(なほ)も平気(へいき)な面(つら)で「サアサア皆(みな)さん如何(いかが)/です。何品(・しな)をお求(もと)めに成りましても残(のこ)らず笑札(せうふだ)/附(つ)き、決(けつ)して開化振(かいかぶり)ハ御座いません。
描写マントを着た日本兵や長い髭の外国人が笑って見ている路上で、清国人の骨董屋が店を広げ、大声で何か叫んでいる。商品の琴には「北琴」、鈴には「摩天鈴」、輪には「連山環」、巻物には「奉天譜」、大鍵には「遼陽錠」「鳳凰錠」「九連錠」「金州錠」、椀には「大連椀」「渤海椀」、壺には、「花園壺」「旅順壺」と記されている。等身大の清国人人形も見える。
解説この揃い物の画題「百撰百笑」は「百戦百勝」の語呂合わせである。清親は、日清戦争プロパガンダ戯画の本シリーズで、敵国清国人を徹底的に卑下して描く。本図では、敗戦の続く清国を、大安売りの投げ売りで、店じまいをする骨董品売りに見立てている。題の「清代かぎり」は「身代かぎり」の地口。まず「何一つとして満足のものがない」「十人並みに揃ったものもない」と貶しておいて、大連、渤海、旅順、奉天、北京などの地名を語呂合わせで骨董品とし、日本軍に占領されたことを、「すでに大和屋さん(日本国)に捨て値で引き取ってもらった」と皮肉っている。まだ売れ残っているものには、頑鼓(頑固)、変靴(矯足)、大法螺、無鉄砲、出砲台(で放題)、乱棒(乱暴)、化賃棒(ケチン坊)、半死半鐘(半死半生)等があるとし、清国人の悪い性格や習慣をあげつらっている。また「残り物には福がある」を「不具がある」、「正札付き」を「笑札付き」になど随所に言葉合わせを楽しんでいる。
所蔵国立歴史民族博物館
画像提供個人
絵種戯画, 日清戦争絵, 風刺画
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