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番号 | 11021-26 | 画題 | 清狂言(しんきやうげん)の降状(こうぢやう) | 揃い物 | 日本萬歳百撰百笑(ひやくせんひやくせう) | 揃い物の解説 | 50枚 | 判型 | 大判 | 絵師 | 小林清親 | 落款 | 清親 | 印 | 小林 | 年号 | 明治28年 | 板行年月 | 1895年3月 | 板元 | 松本平吉 | 詞書き | 清狂言(しんきやうげん)の降状(こうぢやう) 骨皮道人 東西(とうさい)トザイ東(とう) ー 西(ざい)ー / 口上「一座(ざ)高(たこ)うハ御座(ござ)りま/すれど、不面目(ふめんほく)なる降状(こうぢやう)な以(もつ)て申(まを)しアーゲ奉(たてまつ)/ります。随(したが)ひまして此許(このもと)御笑覧(ごせうらん)ニ入(い)れまする/ 清狂言名題(しんきやうげんなだい)「トザイ東(とう)ー 西(ざい)ー 口上「大敗北恥(まけいくさはぢ)/辱上塗(のうわぬり)ー 負(ま)け軍(いくさ)恥(はじ)の上塗(うわぬり)に御座(ござ)り升(ます)、/ 分(わけ)て申上(まをしあげ)まするハ、相勤(あいつと)めまする役人(やくにん)の儀(ぎ)、/ 大法螺(おほぼら)を吹(ふ)き虚言(うそ)をつく事(こと)だけハ熟練(じゆくれん)に/ 御座りますれど、其他(そのほか)の事(こと)ハ何(なに)一つとして取得(とりえ)の/ 芸(げい)ハ御座(ござ)りませぬ加之(しかのみ)ならず御當国(ごたうこく)へハ/ 初(はじ)めてのお目見(めみ)えと云(い)ひ、殊(こと)にハ目先(めさき)の見(ミ)へ/ぬ盲目(めくら)も同然(どうぜん)に御座(ござ)りまして為(す)る事(こと)偽(な)/す事(こと)すべてトンチンカン、迚(とて)も猿芝居(さるしばい)の御上(ごじやう)/使(し)ほどの業(わざ)も出来(でき)ませぬけれども、只々(ただただ)面(つら)の/皮(かハ)厚(あつ)く幾度(いくたび)恥(はじ)を掻(か)きましても、呑湖(のんこ)の洒蛙(しやあ)/突(つく)で出直(でなほ)す處(ところ)だけが御景物(おけいぶつ)に御座り升れバ、/ 遣(や)り損(そこな)ひの節(せつ)ハ幾重(いくゑ)にも御容赦(ごようしや)なく、ヤー /イ、ちやんちやん坊主(ばうず)め態(ざま)ァ見(ミ)ろと御笑(おんわら)ひ下(くだ)さるる/ やう偏(ひとへ)に願(ねが)ひァーゲ奉り(たてまつり)ます、その為(た)め降状(こうぢやう)/ サヨー 見物人「イヨ鴻章(こうしやう)ごくどう
| 描写 | 舞台で清国の大将が裃を附け、口上を述べている。後ろには清国兵の義太夫語りと三味線引きが並んでいる。背景は北京の天安門で、幕引きは西洋人。 | 解説 | この揃い物の画題の「百撰百笑」は、「百戦百勝」の語呂合わせである。清親は、日清戦争プロパガンダ戯画の本シリーズで、敵清国人を徹底的に卑下して描いている。本図が出版された当時、日本軍は、すでに遼東半島を占領し威海衛でも大勝利を果たし、3月30日には、アメリカの仲介で、李鴻章はついに停戦に合意する。本図は、敗戦が決定した清国の総司令官李鴻章が、狂言の舞台で屁ボ役者になって敗戦の口上(降状)を述べる設定。「大法螺」を吹くことと、面の皮が厚く恥知らずであること以外には、何も特技がないので失敗ばかりだが、どうぞ笑ってやってくれ、と見物人に頼んでいる。意味ありげに幕を引く西洋人は、仲介のΓ崖音を取ったアメリカか、それとも遼東半島の権益をめぐって以前から干渉していた西洋大国、イギリス、ロシア、フランス、ドイツの象徴的表現ともとれる。 | 所蔵 | 国立歴史民族博物館 | 画像提供 | 国立歴史民族博物館 | 絵種 | 戯画, 日清戦争絵, 風刺画 | |