番号11021-02
画題李鴻章(りこうしやう)の大頭痛(おほづつう)
揃い物日本萬歳百撰百笑(ひやくせんひやくせう)
判型大判
絵師小林清親
落款清親
清親
年号明治27年
板行年月1894年9月
板元松本平吉
詞書き李鴻章(りこうしやう)の大頭痛(おほづつう)  骨皮道人
醫者(いしや)の診察(みたて)でハ疝気筋(せんきすぢ)だと云(い)ふが、何(なん)にして/ も斯(か)う大頭痛(おほづつう)でハ堪(たま)らない。何(なん)だかノベツに/ 冷汗(ひやあせ)が出(で)て、此節(このせつ)ぢやァ手(て)も足(あし)も出(で)なくなる/ し、惣身(さうみ)ハ一体(たい)にペキンペキンと折(おれ)さうに成(な)/る。お負(まけ)にトロトロと、イヤ取(と)らう取(と)らうとした/ のハ悪(わる)いけれど、一寸(ちよつと)眠気(ねむけ)をさしたのかと思(おも)/ふと、日本兵(にほんへい)が吶喊(ときのこえ)を揚(あげ)てドシドシ攻(せめ)て来(く)る/ 夢(ゆめ)を見(ミ)るので、苦(くる)しくッて苦しくッて実(じつ)に閉口(へいこう)せざ/るを得(え)ずだ。此様(このやう)な事(こと)と知(しつ)たら最初(さいしよ)から頭(あたま)/ を下(さげ)て居(い)るのだッけ。アア苦(くる)しい苦(くる)しい. コラ / 気故来(きこらい)気故来(きこらい)。近矇(きんもう)近矇。誰(だれ)か居(い)ないか、薬(くすり)を持っ(もつ)/て来(こい)い. ナニ今更(いまさら)戦薬(せんやく)を用いたとて仕方(しかた)が/ ない。氷(こほり)だ氷だ、こりこりだ
描写氷枕でベットに横たわる老人が、日本兵に大砲や銃で狙い撃ちされたり、布団に火をつけられたりして怖がっている。その枕もとには、ベットの向こう側には、十字架を持った神父が、こちら側には鍬やカマをかついだ小人の清国兵も数人描かれている。
解説この揃い物の画題「百撰百笑」は「百戦百勝」の語呂合わせである。清親は、日清戦争(1894/8-1895/4)プロパガンダ戯画の本シリーズで、敵国清国人を徹底的に卑下して描く。朝鮮牙山と政歓の清国要塞制覇後、本図が出版された9月には、日本軍は破竹の勢いで平壌を落とし、黄海海戦でも圧勝する。本図の詞書きでは、清国軍の総大将の李鴻章に、日本軍のあまりの強さに恐ろしくて病気になり、日本兵に殺される夢を見てはうなされ、こんなことなら戦争しないで初めから降参しておけば良かったと後悔させている。文章のいたるところにペキンペキン(北京)、戦薬(戦略)、氷だ氷だ(こりごりだ)等の語呂合わせの洒落が使われている。清親は、哀れな李鴻章を、徹底的にピエロとして描いている。「気故来」は「帰去来」と同じで「さあ帰ろう」という意味があり、「近蒙」の意味は「愚かな者」である。
所蔵国立歴史民族博物館
画像提供個人
絵種戯画, 日清戦争絵, 風刺画
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