番号11021-20
画題清兵(しんぺい)の冷(ひや)かされ
揃い物日本萬歳百撰百笑(ひやくせんひやくせう)
揃い物の解説50枚
判型大判
絵師小林清親
落款清親
清親
年号明治28年
板行年月1895年2月
板元松本平吉
詞書き清兵(しんぺい)の冷(ひや)かされ     骨皮道人

支那(しな)のちやん坊主(ばうず)ハ餘(よつ)ぽど弱(よわ)いもので、/ 日本(にほん)の赤(あか)ん坊(ぼう)でさへ唄(うた)ふて居(い)る位(くらい)ゆゑ / ちやんちやん坊主(ばうず)ハ餘(よつ)ぽど弱虫(よわむし)にハ違(ちが)ひない / が、・(さて)その弱虫(よわむし)が五六匹(ぴき)、例(れい)の通(とふ)り命(いのち)から / がら硝兵線(せうへいせん)を逃延(にげのび)て、寒(さむ)いのと怖(こわ)いのとの / 合併(がつぺい)でブルブル震(ふる)へながら甲「日本(にほん)の大将(たいしやう)ハ / 山縣(やまがた)だの大山(おほやま)だのと皆(ミん)な山(やま)の字(じ)が附(つ)くから夫(それ)で / ビクとも動(うご)かないのだらう乙「さうサ夫(それ)にまだ大迫(おほせこ)だの / 大島(おほしま)だのと云(い)ふ、素敵(すてき)もない大(おほ)きな強(つよ)い人(ひと)が居(い)る / さうだなどと、頻(しきり)に噂(うわさ)をしつつ山路(やまじ)を辿(たど) / る折(おり)から、其中(そのなか)の一人(ひとり)がキヤッと云(い)ひさま俄(にかか)に / 目(め)を廻(まわ)した、スルと其声を聞(きい)て又(また)キヤッと倒(たほ) / れる、其(その)跡(あと)から又候(またぞろ)キヤッと云(い)ふ騒(さわ)ぎに、是(これ)ハ / したりと少(すこ)し気丈(きぜう)な男(おとこ)が、能(よ)く能(よ)く / 目(め)を摩(こす)つて見(ミ)ると、如何様(いかさま)目(め)を廻(まわ)し / たのも道理(どうり)、左(さ)も日本(にほん)の大将(たいしやう)でも出(で)て来(き)た / らしく、大(おほ)きな雪達磨(ゆきだるま)がニユーと白眼(にらん)で / 居(い)たので、其男(そのおとこ)も肝(きも)を潰(つぶ)し「エエ忌々し / い雪(ゆき)にまで冷(ひや)かされた。
描写大きな雪達磨に驚いたり怖がったりしている清国兵を、雪達磨の後ろから日本兵が笑って見ている。
解説この揃い物の画題の「百撰百笑」は、「百戦百勝」の語呂合わせである。清親は、日清戦争プロパガンダ戯画の本シリーズで、敵清国人を徹底的に卑下して描いている。本図は1895年2月の出版であり、当時日本軍はすでに遼東半島を占領し威海衛でも大勝利を果たしている。詞書きでは、日本軍大将の山縣有朋と大山巌は、その名前の「山」のように堂々とビクともせず、大迫や大島も大きく素敵だとし、その強大な大将をかたどった雪達磨にさえ、恐れおののいて助けを求めている虚弱な清国兵を軽蔑し、雪が冷たいから「冷やかされ(馬鹿にされ)」と洒落ている。
所蔵国立歴史民族博物館
画像提供国立歴史民族博物館
絵種戯画, 日清戦争絵, 風刺画
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