番号11021-42
画題是(これ)ハ膨湖島(はうことう)
揃い物日本萬歳百撰百笑(ひやくせんひやくせう)
揃い物の解説50枚
判型大判
絵師小林清親
落款清親
清親
年号明治28年
板行年月1895年
板元松本平吉
詞書き是(これ)ハ膨湖島(はうことう)  骨皮道人
日本ハ世界(せかい)万国(ばんこく)に雷名(らいめい)を轟(とどろ)かして居る国(くに)だ、 自己(おれ)が是(これ)まで北清(きた)の方(ほう)ばかりで鳴(なつ)て居るもの だから、南都(みなみ)の奴等(やつら)ハ呑気(のんき)で居(い)るが、稲妻(いなづま)や 昨日ハ東今日ハ西、自己(おれ)の気(き)の向(むき)次第(しだい)何所(どこ)へ飛(とん) で行(ゆく)か知(し)れないぞ、よしよし今度(こんど)ハ一ツ方角(はうがく)を 替(かへ)て南都(みなみ)の方(はう)へ運動(うんどう)に行(いつ)て見(やう)、イヤ 生意気(なまいき)に雲行(くもゆき)を見て居(い)るナ・・何(なん)だもう逃(にげ) 出(だ)す準備(したく)をして居るヮ・・何だと軍士(ぐんし)ハ危(あやう)き に近寄(ちかよ)らず・・アハハハハ貴様達(きさまたち)ハ平生(ふだん)に給金(きうきん) の頭(あたま)を張(はら)れてさへ泣(ない)て居る位(くらい)だから、自己(おれ)が 本統(ほんとう)の頭(あたま)ごなしにヅドーンと鳴(なつ)て、日本刀の 雷(いなづま)を閃(ぴかぴか)ァとさせたら、鉄砲玉(てつぱうだま)よりか眼玉(めだま) と膽玉(きもたま)が飛(とん)で仕舞(しま)うだろう、ドレ電(でん)ハ急(いそ)げ だ一驚(をどろ)かし驚(をどろ)かして遣(や)ろうと云(い)ふので突然(だしぬけ)にヅドー ンヅドーンと大砲(たいはう)な音(おと)が初まつたから、左(さ)なきだに恟(びく) 々(びく)として居たちやんちやん坊主(ばうず)めハ、アッとばかりに膽(きも)を潰(つぶ)して、空(そら)こそ御雷神(ごらいじん)大変(たいへん)な膨湖島(はうことう) が初(はじ)まつたと、皆な地理地理破乱破乱(ちりぢりばらばら) 旗(はた)棄(す)て逃(にげ)た
描写雷の太鼓を付けた日本兵が、空から稲妻を閃かして攻撃するのを、地上の清国兵がビックリ仰天、恐れおののいている。
解説この揃い物の画題「百撰百笑」は「百戦百勝」の語呂合わせである。清親は、日清戦争プロパガンダ戯画の本シリーズで、敵国清国人を徹底的に卑下して描く。1895年4月には、日本の大勝で終戦、アメリカの仲介により下関において、日本に一方的有利な条件で日清講和条約が調印され、この膨湖諸島も遼東半島や台湾と共に日本へ譲渡された。詞書きでは、日本兵を雷神にたとえて全世界にその雷名(鳴)を轟かすと地口にし、その雷神の日本が「稲妻や昨日ハ東今日ハ西(菜の花や月は東に日は西に)」と替え歌にして、北清だけでなく南都にも空から脅かしをかけると、膨湖島の臆病な清兵は「軍士(君子)危うきに近寄らず」と、皆「地理地理破乱破乱(チリジリバラバラ)」に逃げだしたと、処々で言葉遊びを楽しんでいる。
所蔵国立歴史民族博物館
画像提供個人
絵種戯画, 日清戦争絵, 風刺画
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