番号11021-07
画題龍宮(りうぐう)の騒(さわ)ぎ
揃い物日本萬歳百撰百笑(ひやくせんひやくせう)
判型大判
絵師小林清親
落款清親
清親
年号明治27年
板行年月1894年11月
板元松本平吉
詞書き龍宮(りうぐう)の騒(さわ)ぎ  骨皮道人
ズドーン、ミリミリミリミリ、ガブガブガブガブ。/ と物凄(ものすご)い音(おと)がして急(きう)に大(おほ)きな錨(いかり)が落(おち)て/来(く)る。或(ある)ひハ軍艦(ぐんかん)の底(そこ)が沈(しづ)んで来(く)る。夫(それ)/ も一(ひと)ツなら宣(よい)が一日(にち)の中(うち)に四つも五つもズンズン/ 落(おち)て来(き)たから、龍宮(りうぐう)でハ皆(ミん)な肝(きも)を潰(つぶ)して、/ 是(これ)ハ艪(ろ)らしき事(こと)だ海具(かいぐ)わけが分(わか)らないアア阿船(あぶね)/へ阿船(あぶね)へ、真逆(まさか)に其様(そん)な駄洒落(だじやれ)も云(い)ふまいが。/ 頻(しきり)に心配(しんぱい)して居(い)る所(ところ)へ、作志味真九郎(さしミまぐろう)、/ 潮鯛助(うしおたいすけ)、洗井野鯒太(あらいのこちた)、小坂名此四郎(こざかなこのしろう)、なんど/ が来(き)て云(い)ふにハ、只今(ただいま)我々(われわれ)が海洋島(かいやうとう)の近所(きんじよ)/ まで参(まい)りました處(ところ)大日本帝国(だいにほんていこく)の軍艦(ぐんかん)と/ ちやんちやん坊主(ばうず)の軍艦(ぐんかん)との軍(いくさ)が始まりまし/たが、イヤハヤちやんちやん坊主(ばうず)めハ皆無(かいむ)形(かた)なし大(おほ)/滅茶滅茶(めちやめちや)に撃(うち)潰(つぶ)されて然(しか)も甲鉄艦(こうてつかん)とか云(い)ふ岩(がん)/丈(じやう)な艦(ふね)を四艘(さう)も五艘(さう)も粉微塵(こなみじん)に打砕(うちくだ)かれ/ましたとの話(はな)しに、乙姫君(おとひめぎミ)も漸(ようや)く様子(やうす)が知(し)れ/て安堵(あんど)為(な)しオヤオヤさうかへ日本ハ強(つよ)い国(くに)/ だちやんちやん艦(ふね)の沈(しづ)められるのも無理(むり)ハないと云(い)ひ/給(たま)へバ傍(そバ)に居(い)た鯛助(たいすけ)が抜(ぬか)らぬ魚(うほ)で、錨(いかり)は御尤(もつと)も
描写海底に落ちてきた巨大な錨に、竜王と乙姫と魚たちが驚いて逃げ惑っている。
解説この揃い物の画題「百撰百笑」は「百戦百勝」の語呂合わせである。清親は、日清戦争プロパガンダ戯画の本シリーズで、敵国清国人を徹底的に卑下して描く。本図の版行された1894年11月に日本軍は、最も堅固といわれていた旅順要塞を僅か1日で陥落させる。この図の詞書きには、黄海海戦で日本海軍が撃沈した、清国の「超勇」「致遠」「経遠」などの甲鉄艦の錨や船底がドンドン落ちてくるので、驚きあわてている竜宮城の光景が書かれている。また、「是ハ艪らしき事だ(ゆゆしきことだ)海具(かいもく)わけが分らないアア阿船へ阿船へ(危ねへ危ねへ)」と、海と船に関係した言葉を使ってダジャレを飛ばし、魚にもっともらしい名前をつけ、「怒り」を「錨」にして言葉遊びを楽しんでいる。
所蔵国立歴史民族博物館
画像提供個人
絵種戯画, 日清戦争絵, 風刺画
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